現役質屋がこっそり教える、質屋の上手な返済方法

◆現役質屋がこっそり教える、質屋の上手な返済方法

  質屋で仕事をしていると、お客様からの問い合わせで「質屋でお金を借りたいんだけれど、返済方法や利息については、どうなっているんですか?」と問い合わせを受けることが良くあります。   ブランド品買取や不用品買取、貴金属買取等、買取やリサイクルは、その言葉の響きからビジネスモデルをイメージしやすいようですが、質屋の返済方法やシステムや仕組みはあまり知られていない様ですね。   こちらのページでは現役質屋である須賀質店が、質屋のシステムや返済方法についてわかりやすく解説してみます!    

◆質屋でお金を借りてみる。

質屋はお客様から品物を担保として預かり、預かった品物の査定額を上限にお金をお貸しします。例えばダイヤ付きの指輪をお持ちになり、質屋が20万円の査定額を付けた場合、借入れの限度額はこの20万円ということになるのです。   消費者金融の様な金融機関やカードローンからお金を借りる場合は審査が必要ですが、質屋からお金を借りる場合は質屋に預ける商品と身分証明書が必要になります。 質屋の借入れについての詳細はこちら⇒質屋でお金を借りる    

◆質屋でお金を借りたら、どうやって返済すれば良いのでしょうか?

例えば4月1日にダイヤ付きの指輪を質入れして、20万円借りたとします。お金を借りたのですから返済しないといけませんが、質屋の返済のシステムはどのようになっているのでしょうか。     預かり期限内に返済が出来ない場合は、質入れした品物を返してもらえない、いわゆる質流れになることは知られている様ですが、詳しい返済方法はどうなっているのでしょうね。  

①3か月以内に、借りたお金と利息を支払って品物を返してもらう

質屋の預かり期間は3ヵ月なので、3か月以内に借りたお金(元金)と、それまでの利息を払って品物を返してもらうことになります。でも、3ヵ月以内に元金を用意するのはなかなか大変です。先の例では7月31日までに20万円と利息12,000円(須賀質店の場合、計算方法は後に記載)、合計212,000円用意しなければなりません。そのため、返済方法はほかに2つあります。     また、質屋の預かり期間を「質期限」、利息のことを「質料」と呼ぶこともありますので、これより先の説明には「質期限」「質料」を織り交ぜてみます。    

②3ヵ月後の7月31日までに、3ヵ月分の利息(質料)を払って預かり期間(質期限)を延長する。

3ヵ月の預かり期間(質期限)中に元金が用意できない場合は、預かり期間(質期限)の到来する7月31日までに3か月分の利息(質料) 12,000円を支払いすれば、預かり期間(質期限)をまた3ヵ月延長することが出来ます。   元金を用意できなくても、3か月分の利息(質料)を期限までに支払えば、預かり期間(質期限)の延長が出来るんです!    

③元金の返済の目途が立たないので、質流れにする

質期限の到来する7月31日までに、借りた20万円の返済の目途が立たないことが判ってきた場合、何もしないで質期限である7月31日を過ぎれば、質流れ(流質とも呼ばれます)になり、20万円の返済の必要はなくなります。ただし、質屋に預けた品物は質屋に所有権が移るために、取り戻すことが出来なくなります。   まとめると、質屋から借りたお金は3ヵ月の質期限のうちに完済するか、質期限を延長するか、質流れにするかを決めればよいことになります。    

◆預かり期間(質期限)はどのくらい延長できるのですか?

返済の方法について、3ヵ月の質期限を延長することが出来る説明をしましたが、いつまで延長できるのでしょうね?カードローンや消費者金融の返済は、返済期限を最初の契約の段階で決めますが、質屋の返済では質期限を質入れの時に決めることをしないのです。     そのために、質期限は何回延長できるかという質問の問いは「何回でも可能です」ということになります。利息(質料)を質期限が来る前に支払い続ければ、何年間でも質期限は延長できます。   お客様からお預かりした商品は、保管期間中は質蔵と呼ばれる倉庫で保管されます。質蔵には厳格な規格があって、厳重に保管されているので安心してください。      

◆利息(質料)の返済額を減らすことは出来ないのですか?

お客様が支払う利息(質料)に、元金は含まれていないので、何もしなければ3か月ごとに支払う利息(質料)は変わりません。須賀質店では預かり期間(質期限)が来た時に、一部でも元金を支払っていただき、借入れ金額を減らすことをお勧めしています。   借入れ金額が減れば、次回からの利息(質料)の支払いは減ってくるので、一度に元金を支払おうとせずにこまめに返済するのが、質屋からの賢い借り方といえます。  

◆現役質屋が語る、質屋もびっくりな返済方法

こちらのページの一番最初の例、指輪で20万円の査定がついてお金を借りる例でご説明します。    

①このお客様は40万円借入れがしたかったので、もう少し品物を用意して質屋を訪れました。

そして、ネックレス、ブレスレット、時計、最初の指輪の4点を質入れすることとしました。    

②須賀質店が査定して付けた査定額が以下のとおりだったとします。

指輪    20万円 時計    10万円 ブレスレット 5万円 ネックレス  5万円 合計     40万円    

③このまま4点の品物を、ずっと預けたまま利息(質料)を支払っていれば、質流れになることは有りませんが、元金が減らないので支払額も変わりません。そこで・・・

   

④預かり期限(質期限)が来た時に、10万円を支払って、時計を持ち帰ることとします。

すると、借入額は30万円に減って、利息(質料)も安くなって、大切な時計が戻ってきました!    

⑤また預かり期限(質期限)が来た時に5万円を支払ってネックレスを持ち帰ることとします。

すると借入れ額が25万円に減って、利息(質料)も減って、大切なネックレスを戻すことが出来ます!    

⑥以上の方法を繰り返して、まとめていた質物を1点づつ取り戻しながら、返済額を減らすことが出来るので、質屋で借入れ中の方はぜひ参考にしてください。

   

⑦質屋の利息(質料)は借入れ金額が少なくなると高くなることが多いです。

以下は須賀質店の利息(令和6年2月14日現在)
借入れ金額 100万円以上 30万円以上100万円未満 10万円以上30万円未満 10万円未満
利息(月利) 1.2% 1.5% 1.8% 2.3%
  そのために、借入額を減らすと利息(質料)が高くなってしまう場合もあるので、詳しくは借入れ中の質店の担当者に相談してみてください。須賀質店では、こうしたご相談は良くお受けするので、電話でも簡単にお答えすることが出来ます。    

◆利息(質料)の計算方法

質屋の利息は多くの場合月利で表示されています。須賀質店の利息は以下のとおりです。(令和6年2月14日現在)  
借入れ金額 100万円以上 30万円以上100万円未満 10万円以上30万円未満 10万円未満
利息(月利) 1.2% 1.5% 1.8% 2.3%
  こちらの利率を借入れ金額に掛ければ、1ヵ月の利息が計算されます。 月利なので、預かり期限(質期限)を過ぎてしまうと、1カ月分の利息を負担することになりますが、須賀質店では半月ごとの利息の計算を取り入れています。   利息金額シュミレーションはこちら

◆うっかり預かり期限(質期限)を過ぎてしまうとどうなりますか?

預かり期限である3ヵ月を過ぎてしまって、利息の支払いない場合、預けているお客様の品物は質流れ(流質)の扱いになり、お返しすることが出来なくなります。  

①1日でも過ぎると、預けた商品は返してもらえないの

質屋営業法という質屋実務の法律では、3ヵ月の預かり期限を過ぎたら所有権が質屋に移る、とされているのですが、この扱いは質屋各店舗によって対応が異なっているようです。     1日でも過ぎたら預かった商品は返しません、という質屋もいれば、1週間くらいは保管しているので利息を払っていただければ預かった品物を返します、という質屋もいます。    

②須賀質店は預かり期限がきたらどうしているのですか?

須賀質店では、預かり期限(質期限)が来る数日前に、電話で期限が近いことをお知らせしています。この連絡の時に、期限は過ぎてしまうが数日以内に利息を払うと申し出ていただいたお客様には、利息の支払いまで期限をお待ちするようにしています。   なかには「もう必要ないので質流れにしてください」と言われることもあますが、これはお客様が決めたことなので期限が過ぎたら質流れにして、品物は売却することになります。     携帯電話が無かった時代は、お客様への期限の告知は難しかったのですが、現代はひとり1台スマートフォンを所有している時代になりました。個人に通知できる手段があるのであれば、お客様へのサービスとして期限の告知をするべきではないか、と須賀質店では考えているのです。

◆上手に質屋を使う方法をご紹介

最後に意外と質屋を利用する方が知らない質入れの使い方を3つご紹介させていただきます。

査定額をアップしたいなら点数を多く持ち込もみましょう

出来るだけ多く質入れをする事でお店によっては査定額が上がる場合があります。査定10,000円の品物が9点あった場合、本来であれば90,000円なのですが、まとめてお預かりする事で100,000円の契約となると言う事は意外と多いです。まとめて持って行けば必ず査定額が上がるわけではありませんが、もし少しでも多く借入をしたいのでしたら、試してみる価値は大いにあります。  

②質入れから買取に変更する

質入れした品物の返済の目途が立たず、利息の支払いも困難な場合、質流れにしてしまう方法もあります。ですが、一度買取に変更したらどうなるのかをお店に問い合わせてみると良いでしょう。質入れした時の金額より現在の買取金額の方が高ければ、その分のお金をもらえることが出来るかもしれないからです。 基本的に多くの品物は時間が経つにつれて相場が落ちてしまうため、買取に変更しても金額が変わらない場合が多いのですが、流行により相場が大きく上がる品物もありますのでただ質流れにするのではなく、買取に変更したらどうなるか問い合わせてみましょう。  

③必要最低限の金額で質入れする

お持ちいただいたお品物を査定させていただくと、多くの方は査定額の上限でご契約をされますが、もし必要な金額が決まっていれば、必要な分だけを質入れをするのという方法を選ぶと良いと思います。質入れの金額が少なければ、利息も低くなりますので返済もしやすくなるからです。 また、もし新たにお金必要になった時に借入の余白があるため新たに品物を用意せずにすみます。