質って何でしょうね? また、何と読むのでしょうか?「しつ」「しち」。。。読み方は様々ですが、現役の質屋が書いたページにお越しいただいた方には、質屋の「しち」について知りたいと思っているので、質←しち、と読むことにしましょう。
そもそも質って何ですか?
質とは、簡単に言うと物品を担保として差し入れることです。質屋は物品を担保として預かってお金を貸すことが出来るので、この行為を質契約と言います。お金を借りる行為である質契約は、返済期限がありこの期限は3ヵ月です。質契約の期限のことは「質期限」とも呼ばれていて、質期限内に利息を支払うなど手続きをすれば、質期限を3ヵ月以上に延長することも可能です。
質屋の質と買取は違うの?
◆質屋の質と買取は違います!
質屋は先にご案内した通り、物品を担保として預かってお金を貸すことが出来ます。物品を預けた方(こちらは質置主【しちおきぬし】と呼ばれます)は、返済期限(質期限)が来る前に借りたお金を利息を支払えば、物品を戻すことが出来ます。
また、質屋は買取もやっているので、お客様が不要な不要品を店頭で買取してお金を渡すこともできますが、買取は質と違ってお金を返しても物品を返してもらうことは出来ません。そのために、お金が必要であっても大切な品物を使ってお金を調達する時は買取でははく質契約を選んだ方が良いですね。
◆質屋の質と買取、どうやって使い分けるの?
質屋を利用する時には、取引の前に「質入れにしますか、買取にしますか」と必ず聞かれます。すでに解説したように、質屋は質入れも買取もどちらも可能で、後で解説する買取専門店やリサイクルっショップでは「質入れ」は出来ないので、先の質問をされることはありません。
質入れを選ぶか買取を選ぶか、どのように使い分けるかというと、お金を調達するための品物がもう不要で取り戻すことを望まない場合は買取を、大切な品物でお金を調達するために一時的に担保として提供するが、必ず取り戻したい場合は質入れを選んだ方が良いですね。質入れは借りたお金を返済すれば品物を戻すことが出来るとはいえ、「借りたお金+利息」を支払うことになることも気を付けたいですね。
買取専門店にも質と買取があるの?
買取専門店は最近のリユースブームで、その店舗数も増えて、また取り扱う商品の種類も増えてきています。名称もリサイクルショップだったり、ブランド買い取り店だったりと様々です。10年くらい前であれば買取専門店と言えば、金やプラチナの貴金属や古着や古本などが主な取扱商品でしたが、現在では携帯電話、ゲーム機、釣り具、家具、スマートフォン、パソコン、お酒などたくさんの種類が買取対象になっていて、店頭でブランド販売をしたりチケット販売をしている業者もいます。
買取品の多様化にともなって、このサイトの運営会社 須賀質店でもiPhoneやiPadといったスマートフォン(スマホ)、お酒の質入れや買取を始めました!
◆買取専門店は、品物を買取するのみ
買取専門店はその店舗名のとおり、店頭で品物の査定額を出して買取金額を支払い、手続きは終了します。物を渡してお金を受け取るということだけで言えば、質入れと変わらないように思われますが、買取でお店に渡した品物はもう戻すことは出来ません。お金を返金したとしても、品物を取り返すことは出来ないのです。
◆買取専門店は古物営業許可しか取得していないので質屋は出来ない
少し難しい話になりますが、買取専門店も質屋も、営業許可を取得しなければ営業を始めることが出来ません。買取専門店を始めるには「古物営業許可」を、質屋を始めるには「質屋営業許可」を、各管轄の公安委員会から取得しなければ、無許可営業として処罰の対象になります。
多くの質屋は質屋営業許可の他に、古物営業許可も取得しているので店頭で「質入れ」と「買取」の両方の仕事をすることが出来ますが、買取専門店で古物営業許可と質屋営業許可の両方を持っている店舗はほとんどないと言ってよいでしょう。そのため、買取専門店が「質入れ」をしたり「質入れ査定価格を提示する」ことはありません。
ただ、一部のチェーン店で多店舗展開ている買い取り店の中には、かんてい局や大黒屋のように質屋営業許可と古物営業許可の両方を取得して店舗展開している会社もあるようです。
質屋と買取専門店の査定価格はちがうの
◆質屋が提示する査定価格は2つある
これまでの説明でお話しした通り、質屋は質入れと買取の2つの取引が出来ることを説明しました。この質入れで提示する査定金額と、買取で提示する査定金額は同じなんでしょうか。このサイトを運営している須賀質店の例ですが、質入れ査定金額は買取査定金額より少し安くなることが多いです。
商品の種類やその人気度にもよりますが、質入れ査定価格は買取査定価格よりも10パーセントくらい低くなっている気がします。その理由は質入れの場合、数か月後に借りた金額が支払われて品物がお客様(質置主)に戻れば良いのですが、一部の質契約はお金が返済されずに流質(りゅうしちと読みます、質流れとも呼ばれます)になり、品物が質屋の所有になります。
質屋はこの品物を処分することで貸したお金を回収しますが、質契約を結んだ時よりも時間がたっているので、当時より値下がりしている場合が多いのです。また質契約は利息を支払えばずっと延長が出来るので、流質の確定が数年後ということも珍しくありません。
質屋は流質になるかもしれないリスクに備えて、質入れの査定価格を買取の査定価格よりも低く設定してお客様に案内しています。どのくらい低く設定するかは各質店の判断になりますが、すぐに転売が出来る買取の査定価格で質入れ査定価格を決めることはほとんどないと言ってよいでしょう。
◆買取専門店が提示する査定価格はひとつのみ
買い取り専門店が買い取りの取引でお客様に提示する査定価格は、質屋の場合と違って買取査定価格のみになります。買取の場合は、お客様に品物を返す必要がないので、その買取取引の当日に売却することも可能です。実際、当サイトの運営会社 須賀質店でも金やプラチナの買取の場合は、他社よりも買取査定価格が高いので、翌日の相場の下落を考え当日のうちに売却してしまいます。
買取専門店は、買取後すぐに転売が出来るので高値の買取査定価格を提示しているイメージがありますが、質屋でも質入れでなく買取の取引を選んでいただければ、買取専門店よりも高い買取価格を提示することは十分にあり得ると思います。
質屋と買取専門店はどちらが高く買取するの?
ここまでお読みいただいた方は、質屋は「質入れ」と「買取」の2つの仕事が出来て、質入れには「質入れ査定価格」が、買取には「買取査定価格」があること、そして、質入れ査定価格は質契約が終了するまでの期間の価格下落のリスクを考えて、買取査定価格よりも低くなることが多いという説明をいたしました。
質屋は、この質入れ査定価格が低くなりがちであることに注目されてしまっている様で、「質屋=査定が安い」ように思われがちですが、買取査定価格を提示するという仕事に絞れば、質屋も買取専門店もおこなう作業は同じです。
◆業者専門オークション落札価格が買い取り相場に影響する
ブランド品やブランドバック、高級腕時計の買取価格は、どのようにして決まってゆくのでしょう。それは大手チェーン買い取り店であっても質屋であっても同じで、業者専門オークション落札価格が店頭買取相場に影響します。
買い取り専門店も質屋も、店頭で買取した品物は転売して資金化します。資金化する方法はいろいろありますが、自社の店頭で販売したりECサイトを使ったり、自社のWebサイトで販売したり様々な手法は有りますが、いずれの手法であっても高値で販売商品を売るには時間がかかります。販売商品を高値で売り続けていれば、仕入れの現金も不足してくるので、どこかの段階で売りさばいてお金を回してゆかなければなりません。利益を出すには価格設定を高めにしますが、高めの価格設定の販売商品はすぐに売れるわけではないのです。
業者が商品を大量に売却したり、仕入れをしたりする場が業者専門のオークション市場です。このオークションでの落札価格を参考に買取価格を決めてゆけば、自社で売却が出来なかったとしてもこのオークションで売却して資金化することが出来るわけです。
◆業者専門オークション市場も特徴がある
買い取り専門店や質屋が買い取り価格を決める時に、業者専門のオークション落札価格を参考にする話は前にいたしました。でも、ブランド品や高級時計の買取価格は、どうしてどのお店でも同じにならないんでしょうね。それは、業者専門オークション市場は日本だけでなく世界中に多数あって、日々たくさんのセリが行われて落札価格が決定してゆきます。
たくさんのオークション市場があると、A市場は宝石が高い、B市場はダイヤモンドが高い、C市場はブランドバックが高い、D市場はネックレスや指輪などアクセサリーが高いなど、オークション市場ごとの特色が出てきます。質屋も買取専門店も、多数のオークション市場の結果を調査して各市場の特色を把握し、多数のオークション市場を使い分けている様な店舗は高い買取価格を提示できることになります。
◆査定員が多数の商品を研究して、最新の落札相場を把握している店舗は高く買い取る
買い取りの現場で、実際にお客様から品物をお預かりして査定するのは、各店舗の査定員です。この査定員が多数の商品を取り扱った経験があり、最新の落札相場価格を把握している店舗の買取価格は高いと言えるでしょう。
特に高級品や高額品と言われるダイヤモンドや宝石類は、金やプラチナ製品の買取とは違って、見る項目や見極める事項が多い、査定が難しい商品と言われていますが、日々店頭で経験を積み、自分自身で宝石鑑定のスクールなどに通っている査定員は、短時間に正確な買取価格を出せるといえます。
◆方針として買取の価格を高くする方針にしている店舗は高く買い取る
店舗として運営するためには、売上を上げて運営経費を支払い利益を上げなければいけません。店舗の賃料、商品の仕入れ費用、スタッフの人件費、広告宣伝費、水道光熱費など、一度でも自身で会社を運営した経験のある方であれば容易に想像できるはずです。そして店舗として長く継続させなければ、お客様に認知されず信用もされません。
質屋でも買取専門店でも、店舗の運営に関してはお金がかかります。自社の売上から仕入れ費用を引いて経費を引いて、どのくらいの利益を残すかは、運営する店舗の方針によります。買取価格を高く設定すれば利益が減りますから、減った利益は何らかの方法で補わなければいけません。買取専門店では、店頭で販売することで高めの販売価格を徹底する方針の店舗が多いように思います。
また、買取以外の収益をあげられる店舗は、買取の利益が少なくても店舗の運営は成り立つと言えるでしょう。このサイトの運営会社である須賀質店の例ですが、買取に関しては競合他社を意識して業界最高値のレベルの買取価格を設定しているので、買取の利益の割合は低いといえます。その高額買取を可能にしているのが、質屋の質入れによる利息の収益があるからです。
ここまでお読みいただければ、高く買取するかどうかは「質屋だから」「買取専門店だから」といった問題ではなく、店舗としてどのような方針で運営するのか、店頭の査定員は経験豊富で情報収集を常に行っているか、といった問題になることをご理解いただけると思います。
◆質屋も買取店も、買取相場はどの位になるの?
ここまでお読みいただいて、買取価格については「質屋だから」とか「買取専門店だから」といったものではなく、店舗の方針が大きいという解説をいたしました。では、実際の買取価格はどの位なのでしょうか。一部の商品を参考にご紹介いたしましょう。
このサイトの運営会社 須賀質店では、貴金属の買取は特に高く買取査定をする方針でいます。金やプラチナの買取価格は毎日変化いたしますが、2024年6月4日の買取価格は以下のとおりです。
18金1gあたりの買取価格 9,090円 プラチ850 1gあたりの買取価格 4,420円
24金1gあたりの買取価格 11,920円 プラチ1000 1gあたりの買取価格 5,140円
おそらく、他社の質屋、買い取り専門店に負けない買取価格を提示していると思います。
次にロレックスを代表するスポーツモデル「デイトナ116520」のランダム文字盤 Aランク品を、同じく2024年5月20日に260万円で買取しました。この買取金額も他社に負けない高額買取であると考えています。
偽物が持ち込まれたとき、質屋や買い取り店はどうするの?
高級ブランド品やブランドバッグ、ブランド時計には、新品、中古に関わらず偽物(コピー品)が流通しています。ブランドブティックの正規品を購入せずに、ネットオークションやフリマアプリを利用した売買では偽物(コピー品)を購入してしまうリスクが高まります。最初に申し上げておきますが、出品者の所在が明らかでない取引で高級ブランドを売買するのはお辞めになることを強くお勧めいたします。
◆買取、質入れの取引を断られる
査定員が持ち込まれたブラント時計やブランドバッグが、偽物(コピー品)であることを査定作業中にわかった場合は、質屋、買い取り店に関わらず取引することを断られます。取引を断る時に言われる言葉は店舗により様々ですが「この品物は当社では判断できません」とか、「この品物は当社基準外品なのでお取り扱いできません」などと言われることが多いです。
断り方はいろいろですが、どの店舗でも「これは偽物です」「これはコピー品です」という言い方はしません。その理由は偽物とかコピー品などの断言が出来るのは、商品を製造者(メーカー)の方のみが言える言葉であるという考え方によるものです。質屋や買い取り店の査定員は、商品の価値を判断してお客様に伝える立場であり、本物か偽物かを申し上げる立場にないと考えているのです。
◆取引後であっても返金を求められる
最近では質屋、買い取り店の一部では取引の時に、「私から買い取った品物が正規品でないことが判明した場合は、受け取った代金を全額返金します」といった趣旨の契約書の様な書式を取り交わしている店舗もあるようです。こうした書面が残っていれば、質入れ、買取後であっても、取引した品物が偽物(コピー品)であることが判れば、取引店舗から後日連絡があって、お客様は代金の返金をしなくてはならないでしょう。
また、実際の取引の場面では、お客様も査定員も「〇〇ブランド社の▲▲という時計です」「□□ブランド社の××というバックを〇〇円で買い取ります」などの様に、メーカー名や商品名を言いながら取引しますので、対象の商品が偽物(コピー品)であれば民法上「要素の錯誤により契約は無効(民法第95条)」です。
そして、正規品と酷似している偽物(コピー品)を譲渡のために所有する行為は、商標権の侵害とみなされる行為で(商標法第37条2号)、処罰の対象になります(商標法第78条の2)
◆偽物(コピー品)の取引はお辞めになることを強くお勧めします
昨今はあらゆる商取引にコンプライアンスを求められるようになり、質屋や買い取りの世界でも同様の考え方が求められるようになりました。偽物(コピー品)を質屋や買取店に持ち込んで、少しばかりのお金を手に入れようなどと、不謹慎な考えの方はいらっしゃらないと思いますが、正規店で購入せずに個人売買などで入手した高級ブランドの取り扱いは、注意したほうが良いと思います。
良くわからないオークション出品者の中には、偽物(コピー品)を安価に販売している者もいるようですし、こうしたネットオークションで購入した偽物を判らずに他の個人に販売してしまえば事件になる可能性もあります。消費者センターに相談されたり、警察に被害届を出される可能性もあるので、正規店ブティックでない信頼できない店舗や個人から、高級ブランド品を購入するのはやめましょう。
「質と買取」何が違うの? まとめ
現役の質屋 須賀質店が「質と買取」について、解説させていただきました。話がいろいろな方面に進んでしまったので、ちょっとまとめてみます。
◆質と買取の違い
◆質屋の仕事は質入れと買取の2つがある話
◆質入れ査定価格と買取査定価格の違い
◆質屋と買取専門店はどちらが高く買うか
以上についてお話しいたしました。
最後に弊社についてお話しいたします。このサイトの運営会社 須賀質店は、東京で3店舗 池袋、渋谷、五反田で営業を続けている質屋です。創業が大正9年なので、まもなく創業100年になる質屋で、店舗では買取と質入れに特化して、店頭での販売は行っていません。
須賀質店では、質屋をもっと有効に活用してほしいとの思いから、Webサイトによる情報発信を行っており、現在でも更新を継続中です。質入れの利息は業界最安値を目指し、買取の査定価格は業界最高値を目指して営業中なので、買取や質入れをお考えのお客様は、ぜひ須賀質店にお問い合わせになってください。